両翼なきバイエルンの大勝とC・ロナウドに重なるベッカム

 ドイツは今回もまた初戦を大勝でモノにした。考えてみれば両翼をもがれたバイエルンともいえる布陣なのだが、そうとは全く感じさせないまま、運に見放されたポルトガルを下している。己を見失わなかったクリスティアーノ・ロナウドの姿には、ベッカムの姿が重なった。
(グループG・第1節 ドイツ4ー0ポルトガル)


 対戦相手に恵まれているせいもあろうが、ドイツはW杯の初戦で強いという印象がある。調べてみると、21世紀以降は確かにその通りで、2002年のサウジアラビア相手の8-0をはじめ、2006年はコスタリカに4-2、2010年はオーストラリアに4-0といずれも大量得点を挙げている。その意味でいうと、今大会の4-0という結果も驚くには値しないのかもしれない。
 メンバーがバイエルンと元バイエルンばかりなのも相変わらずだ。客席を埋めているのが、ドイツ人というよりバイエルンサポーターに見えてくる。監督のレーブは好きだし、ブラジルかドイツが優勝とも予想していたのだけれど、こうしたワンサイドゲームを目の当たりにすると、なぜだかやはり憎らしくなってくる。90年代前半に刷り込まれたものがあるのかもしれない。
 一方でポルトガルに対するイメージは、ここ十数年で随分と変わってしまった。かつては「専らドリブルしたがる選手ばかりで勝負への執念に欠ける」と感じていたが、今ではえげつないファールを厭わない。ポルト=モウリーニョ、代表=スコラーリという2つの監督人事の影響を、いささか邪推したくもなる。

 ぺぺの退場は、チームメイトにすら受け入れ難い種類のものだと思う。本人の言い分は想像できなくもないのだけれど、守備の中心を担う選手がああいう風にキレてしまうのはいただけない。1点目はPKだし、2点目は彼が競り負けていて、しかも退場になった行為はプレー中に行われたものでもなかった。チーム内で問題が起きたりしないか、心配になる。
 とはいえ、ポルトガルにとっては不運なことが続いたのは確かである。前半の半ばにはFWアルメイダが、さらに後半の半ばにはDFコエントランが負傷交代した。ぺぺの退場後、前半終了間際に3点目を挙げられてしまったが、あの段階で選手交代をしなかったことは一概に責められない。また、PKをとられて先制されたものの、彼らの方はなぜかとってもらえなかった。ジャッジを批判するのは好きではないけれども、あれはPKにしか見えなかったし、画面には主審の姿を見つけることはできなかった。
 単に本人が冷めてしまっていたのかもしれないが、クリスティアーノ・ロナウドの態度は終始、立派に感じられた。瞬間的に見せた主審への抗議も、間近でみていれば当然の反応だったろう。かつてのW杯で彼が大きな批判に晒されたことが思い出され、少しベッカムの姿と重なった。アメリカもガーナも楽な相手ではないが、ポルトガルには意地を見せてほしい。

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