ピルロ不在でも地力に差・ミラン3連勝ならず

 ホームに昨季の覇者ユベントスを迎えた第3節は、無失点のまま今季初の敗北にーー。攻撃では開幕2連勝の勢いを見せられず、守備ではピルロのいない相手に数多のチャンスを許してしまう。結果こそ0-1の最小スコアだったが、小さくない地力の差を感じさせた(第3節 ミラン 0ー1 ユベントス)。


 主将のボネーラを出場停止で欠き、さらに負傷のためにロペスとアレックスも使えない。前節パルマ戦でスタメン出場した選手のうち、GKとセンターバックの2人がいないというのは、かなりの不安材料だったといえる。GKに関してはベテランのアビアーティがいるが、ディフェンスの中央がラミとサパタのコンビに代わるのはいかにも心もとなかった。
 3トップがどうなるかも注目されたが、こちらはボナベントゥーラを下げ、前節パルマ線を負傷欠場したエルシャーラウィを戻した形。新戦力トーレスの先発はなく、好調なメネズをこれまでどおり中央で使い、本田も右で先発させた。中盤やサイドバックにも変わりはなかった。
 対するユベントスはといえば、ピルロを負傷で欠いている。ホームとはいえ、早々に昨季の覇者と当たるのは微妙に思われたが、その点では恵まれていたといえよう。移籍が噂されながら残留したビダルの姿もなく、ミランにとってはチャンスにも思われた。

 立ち上がりから両チームに緊張感があり、互いに早めのケアでカウンターのチャンスを潰し合った。自ずと後方でパスを回すシーンが増え、前線の選手にはなかなかボールが渡らない。ユベントスにとっては、ゲームメーカーのピルロの不在も大きかったろう。
 ただ、それ以上にミランには手がなかった。ここ2試合はメネズのポストプレーやエルシャーラウィの抜け出しでチャンスを切り開いてきたわけだが、ユーベの守備はそう甘くない。ボールを奪われた直後のケアが徹底されており、そもそも彼らにボールが渡らなかった。
 26分には、本田が大きなゴールをチャンスを得る。サパタが敵陣で楔のパスをカットし、これを受けたムンタリが一気にゴール前へ放り込んだもの。残念ながら本田のヘディングシュートはGKブッフォンに阻まれたが、一連のプレーは素晴らしかった。サパタが敵の逆襲の芽を摘んだことはもちろん、返す刀でシュートにつなげられたのは、本田が動き出しており、ムンタリがそれを認識し得たから。未だ攻め手に乏しい新生ミランとしては、こうした効率的なプレーが欠かせない。相手にこうした選択肢をチラつかせることが、90分のなかで効いてくる。
 ただ、残念ながら以降の展開はユベントスの攻勢が続いた。30分には混戦からFWジョレンテが、33分にはMFペレイラがシュートを放つが、ともにアビアーティが弾き返す。負傷交代を挟んで37分にはMFマルキージオが中央から強烈なミドルシュートを放つが、これはポストに救われた。立て続けにチャンスを与えただけでなく、繰り返し中央から安易に打たれるのはいかにも危なっかしい。
 このままでは失点するのも時間の問題に思われたが、39分には自陣でメネズがボールを奪い、そのままロングカウンターを仕掛ける。ただ、ユーベ守備陣は落ち着いていて、無理せずメネズを右へ追い込む。パスコースを塞がれた彼は自らミドルシュートを放つが、ブッフォンに弾かれた。二次攻撃もクロスが合わずに不発に終わる。
 結局、前半はスコアレスで折り返したが、ユーベ優位の感は否めなかった。前節まではボール奪取後に素早くトップへパスを入れることができたのだが、さすがに昨季の覇者には通じない。あるいはアッレグリにとっては研究済みということだったのかもしれず、改めてこの監督とユーベとの相性の良さを感じた。
 ユーベは良く言えば隙がないのだが、悪く言えばその分ダイナミズムに乏しい。システマティックな守備が称揚される国内ではそう感じさせないのだが、外に出ると競り勝てるだけの強さが不足していることを露呈する。ポグバやビダルのようなダイナミックな選手がいながらどうしてこうなるのか、と思わずにはいられない。何年か前のバイエルンがそうだったように、内弁慶を脱するには強力なサイドアタッカーが必要なのかもしれない。

 後半に入ると、地力の差はより明らかになる。ピルロ不在でもちょこちょことチャンスをつくれるユーベに対し、攻め手を欠くミランはあえてボールを持たせるしかないという印象。50分には、カウンターからジョレンテがサパタをかわしかけるシーンがあり、このままスコアレスに持ち込むのも難しいだろうと感じさせた。55分には久しぶりにチャンスが訪れ、左からのクロスを右に流れたエルシャーラウィが狙ったが、ゴールの枠を捉えることはできず。
 あくまで勝利を狙うならば、何らかのテコ入れが必要なのは明らかだった。インザーギは66分になると、エルシャーラウィを下げてボナベントゥーラを投入する。本田を下げる選択肢もあるはずで、彼のファンにはその意図は大いに気にかかるところだろう。単に故障明けのエルシャーラウィに配慮したのか、ボナベントゥーラを左サイド要員と考えているからなのかは、ちょっとわからない。個人的には、未だスコアレスだったこともあり、右サイドの守備を維持したかった面も大きかったのではないかと感じた。
 しかし、直後の70分には、テベスがこの日の決勝点を挙げる。マークを嫌ってディフェンスラインから下がっていた彼は、中央でマークを背負っていたポグバとのパス交換で裏へ抜け出し、難なくゴールを決めた。ミランからすれば、ポーリとアバテの間でマークの受け渡しに失敗したのが敗因だ。言うまでもないが、彼らは右のサイドバックと右のMFであり、アバテが致命傷をもたらす原因になるのはいつものこと。ミラニスタとしては数限りなく口惜しい思いをしてきたのだが、守備面の献身さを買われる本田にとっては、実のところ好都合な欠点になっている。
 動かざるをなくなったインザーギは、75分にポーリを下げてトーレスを投入し、陣形を4-4-2へ。同時にユーベもペレイラをビダルに代えて守備を固める。しかし、監督の意図はチームに受け止められず、80分にはセンターバックのラミが愚かなミドルシュートを放って逆襲を食らってしまう。本人にとっては前向きなチャレンジだったのだろうが、新戦力のストライカーが投入された直後に選択するプレーではない。監督の印象は良いわけないし、スタメンが約束されていない選手がこうした判断を見せるところに、チームとしての危機感の乏しさを感じる。トーレスを使おうという意図は全体的にうかがえなかったし、彼にボールが入ってもフォローする選手はいなかった。
 ゴールを狙うしかないインザーギは、82分には本田を下げてパッツィーニを投入。純粋なストライカーを2トップに据えたわけだが、最後まで見せ場はつくれなかった。率直に言えば、終盤のプレーには必死さが感じられなかった。ケガの状態は全くわからないが、可能ならエルシャーラウィを最後まで残してほしかった。

 総じて言えば、ユーベとの差を痛感させられる試合だった。これまで攻撃を牽引してきたメネズが機能せず、それ以外のパターンを見せることもできなかった。顔ぶれからすれば本田やポーリに期待されてしかるべきだが、彼らが違いを見せられたとは言い難い。トーレスの処遇も悩ましいし、勝ち点を着実に拾っていくためには、26分のようなプレーを積極的に狙っていく必要があろう。
 守備面の不安も相変わらず小さくなく、昨季と比べれば完璧に崩されるシーンこそ減った気もするが、シュート自体はこの3試合でやたらと打たれている印象がある。この日の決勝点にしても、テベスの千両役者ぶりを認めるのにはやぶさかではないが、防げなかった失点ではないだろう。
 ラツィオ、パルマを下して一気に評価を高めたが、チームとしての完成度はまだまだだ。インザーギとしては不満を露わにして引き締めを図らざるを得ないし、攻撃のパターンを増やすには、本田のポジションが安泰だとも思えない。これを惜敗と捉えていては、これから足元をすくわれよう。

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