フランスの敗北と問われぬドメネクの責任


 今さらながら、ユーロ2008について。
 サイドビジネスに追われるワタクシは、試合観戦にも追われ、陽の目を見ない多くのメモを残している。毎度のことではあるのだが、さすがにだらけ過ぎなので、こちらで控えめにいくつかの記事を残したい。というわけで、最初はわがフランスについて。

 ユーロでのフランスの予選敗退は、戸惑いを覚えるような結果ではなかった。彼らは緒戦から脆弱さをさらけ出し、改善の手立てもなく自滅した。
 ルーマニアとの緒戦。老いたCB二人は、裏を突かれるのを恐れて相手FWとの距離をとり、ディフェンスラインを押し上げる勇気を持たなかった。試合後、監督の指示によるものだったとのコメントも聞かれたが、テュラムのようなベテランにそのような言い訳が許されるだろうか。パスカットを放棄したセンターバック2人の消極的な姿勢は、相手の苦し紛れのロングボールに対し、安易にボールキープを許しまくった。結果として自らの陣型は致命的に間延びし、2トップはサポートを得られなくなっていく。ボールは前線に収まらず、期待のベンゼマは中盤に下がってボールを受ける仕事に奔走させられた。必要なのは中盤からの素早い押上げだったのが、フォローすべきマルダとリベリーは身勝手なプレーに終始した。チェルシーで不遇を囲うマルダは完全に調整不足で、一人で気を吐くリベリーにしてもアイデア不足の感は否めない。ドイツW杯でみせたようなひたむきなプレーは鳴りを潜めた。とくにリベリーはいささか傲慢で、「オマエはジダンじゃないんだ」とワタクシは何度もブラウン管のリベリーに語りかけたものである。
 しかし、何を置いても責任を問われるべきは、監督だろう。特定の選手に固執した結果、彼らの調整不足によってチームが機能しなかったのは明らかだった。アンリやマルダらのドリブラーの不振という事態に対して、打つ手はまるでなく、リベリー頼みの攻撃に終始した。守備陣にしたところで、テュラム、マケレレ、サニョルらのベテラン勢は、今回のユーロの特徴であるスピーディーなアタックに、まるで対応できない。そもそもドナドーニのイタリアもそうだったわけだが、自陣での数的優位を維持し続ける昨今のサッカーを前提としてチームをつくったのは明らかだった。その意味では、フレッシュで果敢なオランダやルーマニアには、初めからかなうべくもなかったのかもしれない。
 ジダンと心中するはずだったドイツW杯で、ドメネクはしたたかに生き残った。当時も指摘したように、準優勝の結果は彼の功績とはいい難い。予選で苦しみながらジダン、マケレレ、テュラムの復帰で難を逃れ、そのまま彼らの能力とリーダーシップで好成績を収めた。公約どおり引退したジダンに対し、ドメネクは当然のように続投し、その後もテュラム、マケレレを重用した。そして、クジ運に恵まれたはずの予選で、またももたつきながら、何らの手を打つでもなく大会に乗り込んだのである。
 確かに、いささかジャッジに不公平さを感じたのは否めない。アンリのシュートに対するペナルティーエリア内のハンドを見逃されるなどもあった。しかしこの間、ドメネクが繰り返してきた暴言の数々を思えば、それも致し方なかったのかもしれない。UEFA側にドメネク=フランスに対する悪意があったとしても、十二分に頷ける。ちなみに、会長であるプラティニが、フランスの肩を持つとは限らないことは言うまでもないだろう。政治家である彼にとって、就任直後の現段階ではむしろ他国へ「いい顔をする」ほうが有益だ。ドメネク続投が決まった経緯からして、フランスサッカー協会との間で政治的な合意がなされたのは、想像に難くない。ジダンらはデシャンを推し、アーセナル閥の面々がベンゲルを推したにもかかわらず、彼の続投はあっさりと決まった(カントナまでもが「オレにやらせろ!」と言い出したのは、笑ったが)。恐らくはただ一人、ドメネク留任を主張したリベリーの姿には、むしろかつてのジダンがダブった(彼が、次の心中相手なのか!)。デシャンやベンゲルの就任を望むわけではなかったのだが、いくらなんでもドメネクの続投はないと思っていた。理由は以下のとおり。
 アンリやビエラに固執する一方、アーセナル勢の若手を無視したドメネクの罪は、今後にも関わってくるはずである。彼がこれまで無視してきた選手のリストは、恐ろしく分厚く、ピレス、ジュリらに始まって今回はトレゼゲにメクセス、フラミニ、サーニャ、クリシーなど、数え上げればきりがない。率直にいって、中心選手とポジションのかぶる面々があえて外されているのではないか、と訝しくなる顔ぶれだ。そもそもの問題として、ドメネクは今後、こうした面々と一緒に戦っていけるのだろうか。すでに年齢的に後がないトレゼゲはともかく、脂の乗り切ったメクセスなどは内心、今回の処遇に不愉快なものがあるのは間違いないはず。フラミニを含むアーセナルの面々にしたところで、自分をユーロに呼ばなかったドメネクに対し、信用を置けるはずもない。だいたいが、メディアに報道される発言をみていて、誰がドメネクに敬意を抱けるだろう。
 続投の決定はあまりにも浅はかで、我々を憮然とさせる。今からでもベンゼマやナスリといった若い才能を、生かせる人材の就任を望む。


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