ボスへの回答

 率直にいって、岡ちゃんには最初から上昇志向などないのだと思っています。ベスト4というのは選手に示すためのものであって、優勝はレベルとして高すぎるから目標として機能しないし、同時に過去の結果を上回るものでなければ意欲を引き出せない――というだけのことだと思います。


 12年前の当時はそりゃあいろいろな想いがあったろうけど、その後はチャーター機で日韓W杯を観戦しまくり、WOWOWの解説者にも収まった。指導者としてもコンサドーレを率いて一定の評価を得たし、マリノスでは最高の結果も手にしている。恐らく、最初こそ協会や世間へのリベンジの気持ちはあったと思うのですが、すでに彼は12年前の出来事こそが、こうした境遇をもたらしたのだと分かっている。つまり、マリノス時代の後半からすでに彼には挑戦意欲などなくて、今回の代表就任はむしろ、リベンジというよりも恩返しなのではないでしょうか(だからこそ、カズを外したことを問われると苛つき、「進退伺い」なんてことをポロっと喋るのでは・・・・・)。その意味で、「グッドルーザー」をめざしているというのは、ワタクシもそう思います。

 しかし、実際に監督をやってみて、岡ちゃんは自分には恩を返せるほどの実力なんてなかったことに気づかされたのではないでしょうか。だから、これまでの歩みには余裕なんてまったくなかったのだと思います。W杯出場までは漕ぎ着けたものの、本大会での勝算はまるでないし、観客数も視聴率もふるわない。首の皮一枚残ったなかでバーレーン戦には勝利したけれど、今回、韓国に見るところもなく敗れたことで、いよいよもって進退極まった。だから、「監督を続けても良いのかどうか」を会長に確認しなければならなかったし、選手やスタッフで構成されるムラに逃げ込まざるを得ないということでしょう。

 岡ちゃんはもともと体育会系の浪花節な人で、古き良き中間管理職ですよ。それが突然、上司の更迭により大きな役割と責任を与えられ、我慢してたらいつの間にかVIP待遇を得られたというだけなんでしょう。だから、彼にとっては今でも「代表監督としての結果だけが『自分が何者か』を証明する手段」なのだと思います。国内屈指の指揮官である自負はあっても、というよりそうであるからこそ、彼は無力さを感じているのではないでしょうか。もはや自分自身、比較対象を国内レベルに置いていない一方で、ファンからは「オシムやトルシエの方が良かった」と思われているのも知っている。メディアを通して我々を満足させるなんてことは、恩返しでもなんでもないのだと思いますよ、彼にとって。

 そもそも、「管理者」としてはともかく、「戦術家」としての岡ちゃんの実力については、もはやまったく評価していません。なぜなら彼は、近年の守備戦術について行けていないと思うのです。この数年間で、選手がボールを扱う時間とスペースはよりいっそう失われ、ゆえによりいっそう早いボール回しが求められるようになった。例えば、ミランでのアンチェロッティは、スター選手を使うためにああいうやり方をせざるを得なかったのだと思えるのですが、岡ちゃんは違うでしょう。オーナーの意向には逆らえないとか、高サラリーのベテランを使わざるを得ないといったしがらみはない。にもかかわらず、岡ちゃんは中村俊輔や遠藤に固執し、しかもオシムが強いていたプレッシャーまで彼らから取り除いてしまった。二人とも、今よりずっと走っていたと思いますよ、当時は。

 かなり以前のことですが、岡ちゃんとヴェルディを率いていた李との対談の内容が、ワタクシにはとても印象に残っています。ちょうど、彼がマリノスを率いて1年目を終えたぐらいの頃だったと思うのですが、「守備に関しては、100%構築できる自信がある」という趣旨のことを話していました。もちろん、Jリーグレベルであればということなのでしょうが、そもそもこの発想がワタクシにはもはや通じないものだと思うのです。世界的にみると、攻撃と守備を切り離して考えることはますます許されなくなっている。就任当初は、岡ちゃんも当然、このことを分かっているのだと思っていたのですが、どうもそうではなかったらしい、と今のワタクシは思っています。この間の彼は、ご自慢の守備戦術を徹底するでもなかったですから。

 結局、オランダ戦でみせたような「特攻」気味のプレッシングサッカーこそが、彼の支えだったと思うのです。それが、韓国相手にはまったくできなかった。他のアジア勢相手であれば、「そもそも向こうが攻めてこないから」と自らに言い訳できたかもしれませんが、今回は違う。同じくらいのレベル(?)にも、やはり主導権はとれなかった。だから岡ちゃんはたぶん、戦力的には12年前の大会前より自信を失っているのだと思うのです。ワタクシは、そういう前提でエール(?)を送りました。「気合だ、気合!」という感じですね。

 ですから、「実は『国民性』ではなくて岡ちゃん自身の個人的な資質なんじゃないか」とか、「なんであんな顔をして監督をしなければならないのか」などは、まったくワタクシも同感です。そして、「わかってやっている」とは、とても思えないです。頼んでもいないのに慈善事業を始めて、「お前らは部外者だろう」とばかりのコメントを繰り返しているようにしかみえません。ハッキリ言って、彼の態度はとても不愉快であって、これほど日本代表に関心が持てないのは初めてです。だから、「個人的なリベンジでいいから、死ぬ気でやってくれ」という感じです。ダメですかね?

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この記事へのコメント

ボスこと三鷹牛蔵
2010年05月31日 00:06
私もあんな長文でコメントするぐらいなら記事を1本仕立ててトラバでもすればよかった、と後から思いました。

何をもって「恩返し」ととらえるか、つまり日本代表の目標設定について、多様化していることが自体を難しくしているのでしょう。
目標についてのコンセンサスが明示的でない中にあって、「オシム並」を求める人もいれば、本大会に出場すれば可という人もいる。だから論者によって批判の内容がバラバラになっている。全員を満足させることが不可能であるために、聞く耳を持てなくなっているのでしょう。
岡ちゃんは分不相応に高い目標を自己に課して、勝手に苦しんでいると私は思います。そこをフォローするのは本来であれば協会なのでしょうが、代表チームを取り巻く世論が定まらない以上、それも難しいのか。

今回の代表には中田もモニワもいないので醒めている部分があるのですが、しかし、「世界の中での日本代表」と「J1でのベルマーレ」は似たような立ち位置なので、妙な親近感があります。試合内容にもやけに既視感がある。
だから反町について語りたい気持ちもあるんですけどね。指摘されて痛い点もあるのですが。
秋に国立でのFC東京戦にでも行きましょうか。それまでに降格が決まっていなければ良いのですが。。。

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