インザーギの意図をメネズが実践・本田も今季2ゴール目

 4年ぶりの開幕戦勝利で勢い込むミランは、PKあり、退場あり、オウンゴールありのすったもんだの末、パルマ相手に5-4で勝利した。新戦力のメネズが楔役としてチームを牽引し、前節ラツィオ戦に続いて大量得点を叩き出している。不用意な失点グセは相変わらずだが、昨季までの手詰まり感が見られない攻撃には、インザーギの意図が浸透しつつあることを感じさせる。2試合連続で先発した本田も、今季2ゴール目を挙げている(第2節 ミラン 5-4 パルマ)。



 開幕戦を勝利して迎えた第2節は、ドナドーニに率いるパルマ戦。こちらとしては勝手に期待をふくらませていたのだが、スターティングメンバーにエルシャーラウィの名前が見当たらず、いきなり焦る。新戦力フェルナンド・トーレスもいないが、どうやらともにケガとのこと。基本的には開幕戦と変わらない顔ぶれで、エルシャーラウィの代わりに新戦力ボナベントゥーラが左でデビューし、デシーリオが左サイドバックで出たことでサパタが引っ込められた。監督のボネーラへの信頼は厚いのだろう。

 試合は静かに始まった。開幕戦を落としたパルマは慎重で、アウェーのミランも無理をしなかったせいだろう。
 最初の決定機は22分で、新戦力のボナベントゥーラが絶好の展開からヘディングシュートを放つも、ゴールの枠をとらえず。しかしその2分後にも同じボナベントゥーラがチャンスを得て、先制点をもぎ取った。
 恐らくはチームとして狙っている展開で、センターフォワード=メネズが下がりながらポストに入り、右サイドバック=アバテのオーバーラップに合わせようとしたもの。ただ、実際にはメネズがダイレクトではたいたボールは敵の選手に当たり、運良く本田の前へこぼれてきた。本田は、慌てて止めに来たルカレッリの動きを見透かし、球離れ良く中央のボナベントゥーラへ折り返す。この段階で1対1の状況を得たボナベントゥーラは、トラップすると見せかけて相手を振り切り、左へ流れながらゴール右へと蹴り込んだ。
 ラッキーな面があったのは事実だが、自ら仕掛けたことで敵のディフェンスが崩れたことに違いはない。何より、相手のディフェンスラインが下がり切る前に自らチャレンジするパターンは、ここしばらくのミランに欠けていたものだ。精度を高めていけば、守りを固める相手を崩す手段として有効に機能しよう。
 ところがどっこい、その2分後には、逆襲に出たパルマにあっさりと同点弾を献上してしまう。左サイドからのクロスにフリーのカッサーノが飛び付き、ヘディングでゴールを決められた。両サイドバックの守備力不足を露呈するいつものパターンで、混戦からサイドにボールが流れると、アバテが例によって簡単にクロスを入れさせてしまう。そしてカッサーノをマークすべきだったのは、この日、左サイドバックを務めていたデシーリオだった。味方のマークのズレを修正する時間を稼ぐには、素早くクロスを上げさせてはならない。もう結構な年齢になっただろうに、アバテは何度やっても同じミスを繰り返す。

 スコアがタイになったことでこのまま膠着状態になるかと思われたが、36分には本田が今季2点目となるゴールを決めた。中盤に下がってきていたメネズが、オーバーラップを仕掛けた右サイドバックのアバテに速いパスを送ったもの。ギリギリで追いついたアバテからマイナスのクロスが上がり、タイミング良く走り込んできた本田がヘディングで勝ち越し弾を決めた。走力以外にとりえのない右サイドバックを生かすには、やはりこうした形が理想だろう。
 前半終了間際には、メネズが自ら得たPKを決めて3-1に。ここまでの2得点でいずれも起点になっていたFWにゴールが生まれ、見ているこちらも胸を撫で下ろした。ディテールで貢献した選手が追加点を取るかたちで報われるのは、チームにとって理想的だ。

 何だかんだ言って試合は決まったかに思われたのだが、後半に入ると51分に失点し、続く58分にはハンドでシュートを防いだ主将ボネーラが、2枚目のイエローで退場。次節ユベントス戦で彼がいないのは、頭が痛い。
 しかも、直後にはもう一人のセンターバック=アレックスが負傷のためサパタと代わり、併せてボネーラ退場により本田を下げてラミを投入。センターバック2人が同時に交代するというのは、通常ではあり得ないかなりの珍事だ。
 それにしても、昨季のレンタル契約からごねまくって獲得したラミは、今や完全にベンチを温めている。果敢な攻撃参加は確かに魅力だが、個人的にはインザーギの判断を支持したい。セリエAでセンターバックをやるには、彼は少々おとぼけが過ぎている。もっとも他のメンツも似たようなものではあるが、ただでさえサイドバックの守備力が不安なだけに、少しでもマシな人材が優先されるのは仕方がない。むしろ、かつては同じレベルだったボネーラが、よくぞここまで成長したと感じてしまう。

 67分には、敵のミスから中盤でデ・ヨンクがボールを奪い、そのまま持ち込んで4点目を決めた。守備の要のゴールに俄然盛り上がったが、72分になると、本日は踏んだり蹴ったりのルカレッリがゴールを奪い、再び1点差へ。この落ち着かない試合は何なんだと思っていたら、77分にはパルマのフェリペが謎のジャッジで退場する。メネズのダイブは、女子高生のジャンプ写真さながらだったのだが……。
 しかし79分には、そのメネズがミスを突いて5点目を決めるのだから、パルマファンとしてもやり切れなかったろう。ああいうのはどちらを応援していても後味が悪い。いい加減、乱打戦もこれで打ち止めかと思われたのだが、終了間際にはデシーリオがGKへ少々長過ぎるバックパスを送り、そのままオウンゴールへ。硬いピッチでバウンドが変わったのかもしれないが、GKロペスは足をつったのか挫いたのか、処理できなかった。すでに3人交代していたためそのまま出場していたが、次節に出られるのかどうかは気にかかるところ。主将だけでなく彼も出られないとなると、いやがおうにも不安は増す。
 何にせよ、最後までドラマティックな試合だった。PKあり、退場あり、オウンゴールありで、しかもスコア上は双方が大量得点。これなら漫画や小説にできてしまう。

 試合のMVPはメネズだろう。自らゴールも挙げたが、序盤の2得点にしても彼のパスによって膠着状態が展開している。当初こそ厳しいマークで楔になり損なったシーンも見られたが、途中からはいろんな形でボールを引き出していた。これまでのミランに欠けていた部分であり、インザーギの意図を実践しているものだろう。
 本田の活躍も、メネズに支えられているといえる。この日はボールを持ち過ぎて空回り感を醸し出すことはなかった。ボールが速く回っている方が彼の持ち味も生きてくるし、インザーギが胸を張りたくなるのもよく分かる。

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